企業やブランド、商品などに対して強い関心・愛着を持っているファンが集まり、情報の交換や発信、交流などを行うことを目的としたオンライン上の集まりを「ファンコミュニティ」と呼びます。サイトやアプリなどを通じてファン同士が繋がり、企業とも双方向でコミュニケーションを取れる点が特徴のひとつです。
このファンコミュニティの要素としては「同類意識」「儀礼/伝統」「道徳的責務」という3つがあります。この要素が揃うことにより、「コミュニティ」と呼ばれるようになります。
現在は、企業が自社の商品やブランドの情報を発信するためにSNSを活用しています。SNSは拡散力が強くたくさんの人に対して情報を届けられますが、企業やブランドからの一方的な情報提供という形になりやすく、双方向のコミュニケーションが難しい面があります。
ファンコミュニティの場合は、拡散性が高くはないものの企業とファンが双方向のコミュニケーションを取ることができます。さらに同じ価値観を持つ人が集まるためコミュニケーションが活発化し、商品やブランドへの熱量が高まっていく傾向があるとされています。その中で交わされた意見や声は、マーケティングやさまざまな施策に活かせるメリットもあります。
ファンコミュニティには「企業主導」と「ユーザー主導」の2種類があります。
企業主導の場合には、コミュニティ内のルールなどを企業がコントロールしやすい、参加者の属性データやコミュニティ内の行動データなどをもとに、商品開発などに繋げられる点がメリットです。ただし新しい顧客を呼び込むことや、継続的な活動に繋げることは難しいといったデメリットがあります。対してユーザー主導の場合は、ファン自身が自発的に話題作りできるなど、活動の方向性を決められる自由度や多様性に強みがありますが、運営が不在の場合に混乱するなどのデメリットもあります。
このように、双方にメリット・デメリットがあるため、両者のバランスが大切であるといえます。
ファンコミュニティで行われるさまざまな活動は、ブランドや企業、商品に対するロイヤルティを高める効果が期待できます。ロイヤルティとは、直訳すると「忠誠心」を意味しますが、ここではあるブランドや企業、商品に対する強い支援の気持ちといえるでしょう。また、UGC(ファンが作る作るさまざまなコンテンツ)によって一体感や愛着も深まっていきます。
そして、ファンとの共同構造によって新たな商品の開発やプロモーションの実現などにも繋げられます。
企業はファンコミュニティの中で直接ファンの声を聞くことができるため、顧客理解を深められる点に加え、市場調査を実施する場合と比較するとコストの削減が可能となります。このことから、リアルな顧客像やニーズ、悩みなどさまざまな点について把握しやすく、商品・サービスの改善に活かせます。
その結果、ファン一人あたりが企業にもたらす収益(=LTV)の向上が期待できます。
すべてのファンコミュニティがうまくいくわけではなく、失敗する例ももちろんあります。失敗の原因として考えられるのは、例えば目的やコンセプトが不明であること。このような状態だと参加者のモチベーションが下がってしまい、活動が続かなくなってしまいます。また、成果の測定が不十分である場合には活動の改善が見込めませんし、過度に企業からの発信がされている場合にはファンの参加意欲低下に繋がってしまうために双方向のコミュニケーションができず、一方的な広報の場となってしまいます。
ファンコミュニティの運営においては、「会員数」「AU(アクティブユーザー)率」「投稿数・投稿者数」などが主なKPIとなります。これらの測定を行う場合には、投稿数や投稿者数、会員数がどれだけ増加・減少しているかといった点を週次・月次で確認します。このような指標を確認することによって、コミュニティの成長度を確認できます。
事業面においてはファンのLTV(顧客生涯価値)、継続購入率、日本語で「口コミ」を指すWOMなどをKPIとして測定します。これらの数値を測定することによって、ファンコミュニティでの活動がブランドの価値向上や収益にどれだけ貢献しているか評価可能となります。
ファンコミュニティを運営していく中では、健全性を保つためにも規約を整備する、投稿の監視や整理を担うモデレーション体制も欠かせません。さらに、「トラブル発生率」や「モデレーター対応件数」などのヘルス指標につて定期的に確認しておくことによって、参加者が不安なく活動できるコミュニティを構築でき、ブランド価値の向上などにつながっていきます。
ファンコミュニティを立ち上げる際には、「どのようなターゲット層が参加してくれそうか」といったように参加してもらいたいファンを想定することが必要です。ターゲットが明らかになると、どのようなアプローチを用いると良いのか、どのようなコンテンツ内容にするのかも決まってきます。
また、立ち上げにあたっては目的をはっきりとさせる点に加えて、運営にあたってのルールやどのようなツール・ソフトウェアを使用するかの設計が必要となってきます。
ファンコミュニティを開設するプラットフォームを決定します。例えばウェブサイトやメールマガジンなどが代表的なものとして挙げられます。情報提供を積極的に行いたい場合にはメールマガジンが有効ではあるものの、参加者同士のコミュニケーションの場とはならないため、他の手法も併せて取り入れる方法もあります。
また、コミュニティへの導線設計は、自社サイトやSNSから案内する方法などが考えられます。可能な限り多くのファンを集めることが理想的ではありますが、企業やブランド、商品に対して真摯に向き合ってくれるファンを集めることによって参考になる意見をもらえる可能性を高められるため、「商品を継続的・何種類も購入している」といった層に絞るのがおすすめです。
オンラインでのコミュニケーションである以上、炎上を予防する対策も必要であるといえます。例えば、ルールやガイドラインを明確にしておく点に加えて、問題が発生した際には迅速に対応を行うことが大切です。また、専用のモデレーターを設置するのもひとつの方法であるといえます。
多くの企業が注目するファンコミュニティですが、サービスによって「得意なこと」は全く異なります。今回は、主要なプラットフォームを目的別に3つのタイプに分類。自社のフェーズや目的に合わせて必要なサービス選びの参考にしてみてください。


