企業やブランド、商品、サービスなどに深い愛着を持ったファンが集まってコミュニケーションをとれる点が大きなメリットとして挙げられるファンコミュニティですが、実際の運営においてはさまざまな課題が出てくるケースもあります。
例えば、コミュニティの運営における目的や「成功の基準」が曖昧な場合です。ファンが「何のためにこの場に集まるのかがわからない」といった疑問を持つと、コミュニティの活動を継続していくのも難しくなる可能性が考えられます。また、企業の宣伝が多くなると、ファンは「単なる広告・宣伝の場」という認識を持ってしまいます。せっかくコミュニティに参加しているものの、企業からの宣伝ばかりでは参加するモチベーションも下がってしまう可能性もありますし、企業側もファンの声を活かしにくい状態になってしまいます。
コミュニティを運営する中で陥りがちなのが、投稿が一部のファンに偏ってしまい、その他の人は「見ているだけ」という状況です。特に、初めて参加した人など参加してから間もない場合には、「自分は投稿しても良いのか」といったようにどのように振る舞えばいいのかわからなくなってしまうことも多いでしょう。コミュニティの雰囲気や流れなどを掴みにくいと、参加のきっかけを逃してしまうケースもあります。
コミュニティのルールが整備されていない、トラブル発生時の対応方針が決まっていないケースでは、いざトラブルや炎上が発生した場合にも対応が難しく、問題が大きくなったり長期化したりする可能性があります。さらに、独自サイトやSNSなど「どこでコミュニティを運営するか」といった点について、ニーズに合った場所選びがされていない場合には、運用を開始した後に問題が発生することもあります。
ファンコミュニティでは、まずは「運営する目的や目指すゴールを設定する」点が非常に重要となります。その上で、目指すゴールに対してどの程度実現できたかを測る指標(KPI)を設定していきます。その後、コミュニティ運営の目的をもとに具体的な企画や運営プランを策定し、実行します。この時重要なのが、実行しっぱなしではなく、定期的な振り返りを行って必要に応じて改善に取り組んでいく点です。このサイクルによって目標のぶれや曖昧さを防ぎ、コミュニティの活動に一貫性を生むことができます。
運営を行っていく中では、「初心者も不安なく参加できる仕組み」を作ることも大切です。そのためには、新しい参加者がいる場合には、歓迎のメッセージを送る、自己紹介のテンプレートを作成しておく、「まずはこの投稿にリアクションしてみてください」のように最初の一言促す取り組みなどが有効と考えられます。このような導線を作っておくことによって緊張や不安を和らげ、初参加のハードルを下げられます。コミュニティの運営に成功している企業は、初めてでも参加しやすいように「入り口設計」を重視しているといえます。
コミュニティの運営メンバーの中で、役割を分担して「休む仕組み」を作っておくことも大切です。担当を固定せずに交代・休暇を取れる体制にしておけば、責任が一人に集中する状況を避けられ、運営疲れを防げるようになります。ファンコミュニティを運営する中では、時にはトラブルの対応を行わなければならない場面もあります。このような場合にも、複数名での運営体制を構築することによって、慌てず冷静に対応できるようになります。
ファンコミュニティへの参加がなかなか伸びない、という課題を抱えることもあります。この場合には、「週に1回話題を投稿する」「月に1回イベント(オンライン座談会など)を開催する」といった形で、メンバーの興味や参加意欲を促す工夫が必要になります。決まったリズムで投稿を行ったりイベントを開催したりしていく中で、継続的な参加が期待できます。
また、参加者への感謝をメッセージや特典などで明示することによって、参加へのモチベーションを高めることにも繋がっていきます。
コミュニティの参加者の中には、頻繁に投稿を行うなど積極的に参加する人もいれば、なかなか発言することが難しく「見る専門」「読む専門」という人もいます。このような人のために、話題をわかりやすくまとめる、これまでの重要な投稿をアーカイブ化しておくといったこともおすすめです。この取り組みは、新しく参加してきた人がコミュニティの雰囲気などを知る上でも有効な方法です。
「この話題に投票をお願いします」や「スタンプなどでリアクションをお願いします」のように、小さな参加依頼を行うことによって、主要な投稿者以外の人も参加しやすくなり、投稿の偏りを和らげられるようになります。さらに、これを繰り返していくことによって、コミュニティ上でのやり取りの敷居を下げることにもつながるために、さまざまな人が参加できる雰囲気づくりにもつながっていきます。
ファンコミュニティの成果を測る上では、会員数や投稿数などの指標が重要となってきますが、その他の部分にも目を向けることも必要です。例えば、「何人が定期的に見に来ているのか」「どれくらいの割合の人が書き込みやリアクションを行っているのか」「どれくらいの人が継続してコミュニティに参加しているのか」など、多面的にデータを確認していきます。このように、見にくる人や書く・続けるといった点に目を向けることによって、コミュニティの課題を見つけられる場合もあります。
コミュニティ運営における目標を立てる場合には、現状を踏まえ達成可能な目標を立てることが大切です。例えば、アクティブ比であれば「参加者の20%が月に1回投稿する」、継続率については「半年後もアクティブなメンバーが10%継続する」といった内容が考えられます。
高すぎる目標だけではなく、目標と現実のギャップを定期的に振り返り、成長を評価できる設計を行っていくことがコミュニティ継続のポイントのひとつといえます。
例えば、コミュニティ内で商品アイデアを投稿したり、質問し合える場を作ることによって、実際の商品化につながったり売り上げが増加する、企業への問い合わせが減少するなどの効果が見られるケースもあります。このように、コミュニティの活動がどのように問い合わせ数や満足度、売上などにつながっているのかという点も、指標として確認をしていきましょう。
SNSは参加が簡単であり拡散力のメリットがあります。ただし双方向のコミュニケーションが難しいため、SNSのみに頼るのではなく、独自のコミュニティ基盤など他の受け皿も用意しておくことが大切です。
ツールの仕様変更や何らかの理由による停止などにより、コミュニティ参加者への連絡が断たれてしまう可能性もあります。このような状況を防ぐためにも、連絡手段は二重で持っておくことがおすすめです。しっかりと対策を行っておくことによって必要なタイミングでの対応が可能となり、参加者との信頼関係の維持につながります。
コミュニティの運営を続ける中では、プラットフォームの移転が必要になるケースもあります。その場合に備えて、会員データや投稿内容などデータの保管方法を定めておくといったように、移行手順を明確にしておくと、いざという時に慌てずに対応が可能となります。また、移行手順をまとめたマニュアルを作成しておけば、将来的に再度移転が必要になった時にもスムーズに対応できます。
多くの企業が注目するファンコミュニティですが、サービスによって「得意なこと」は全く異なります。今回は、主要なプラットフォームを目的別に3つのタイプに分類。自社のフェーズや目的に合わせて必要なサービス選びの参考にしてみてください。


